会社の節税?の方法【下衆の勘ぐり】

(実話を元にしたフィクションです)

東京都内にある某企業、A社。

その企業が入居しているビルのあるフロアでは、50人ほどの人間が働いていた。その内、社員は半分以下。では、残りは?業務委託契約で働く人々である。

「A社さんってよく訴えられないですよねー。」

これは中途採用の面接で出向いた先の企業の社長から言われた言葉だ。

私がかつて所属していたA社がやっていることは、業界内では知っている人は知っている(A社に限った話ではないが)。

私が働いていた形態、それは実質的な雇用契約、いわゆる偽装請負ではないか?

それは私がA社の面接を受けている時からなんとなく思っていた。労基署に相談に行った時、その疑念は確信に変わった。

私は今業務委託契約で働いている。しかし毎日オフィスに出向き(交通費は会社負担)、タイムカードを押し(丁寧なことに一カ月に一度、勤怠表のようなものが配られる。)、定時が決まっている。文房具も会社負担で使える。これって雇用ですよね?

私は労基署の職員にこの現状を伝えた上で、こう告げた。

「とはいえ、介入はしなくて大丈夫です。もし指導が入って直接雇用されるとなると会社側は社会保険料の負担などが掛かりますし、その分の負担を穴埋めするために給料を最低賃金レベルに落としてくるかもしれない。そうすると私も困りますし、働いている人達も困ると思うので。」

労基署の職員は「その可能性はありますね」と答えた。

一緒に働く人々のことを考えていた。業務の中で関わる時間が多い人、少ない人様々いるが、どんな雇用形態であれきっちり働いている。その人たちの生活を壊すようなことをするのは、できない。

労基署に介入してもらうことは可能だろう。しかし、正論が必ずしも人を救うわけではない。むしろ、正論は人を救うことの方が少ないのではないか。

大きなお世話でかつ失礼を承知でいうが「この職に向いている人」はほかの職に適性がない場合も多く見られる。会社側はそこにつけ込んでこういう契約をしているという見方もできるかもしれない。ただ、働く側もある程度そういうことはわかっている。お互い様という面もあるのかもしれない。

 

【消費税の課税を逃れる方法?】

ここからはただの推測である。

業務委託契約スタッフに支払う委託料は、消費税が含まれた額である。

法人が消費税を納税する場合、それはその法人が支払った消費税より得意先などなら受け取った消費税の方が多い時だ。

数十人の業務委託契約スタッフに払う消費税の合計はそこそこ多いとみられる。推測に過ぎないが、結果として普通に雇用するより消費税の納税額は少なく済むのだろう。もしこれが業務委託ではなく通常の雇用契約で「賃金」として払っていたら、その金額に消費税は含まれないからだ。

また、受け取る側は年間1000万以下の売上(収入)だろうから消費税は免税となる。インボイス制度でややこしくなりそうだがその話は割愛。

業務委託料を支払う会社側としては、おそらく雇用するより消費税の支払いが少なく済む。

一方、受け取る側は10パーセント余計にもらえる。しかもインボイス制度が正式に始まるまでは免税だからその10パーセントは懐に入る。WIN WINのような構造。実にうまく出来ている。

 

あなたはこういう会社の在り方について何を思いましたか?